10月の連休は土曜日にお休みをいただいて学会に参加してまいりました。
色々と勉強になることがあったのですが、「ご当地皮膚病」なるセッションがありました。
皆様もこれからの秋の旅行シーズンを迎えることですから少し参考になるかと思い、
いくつかご紹介させていただきたいと思います。
まずは北から、秋田県からは皮膚幼虫移行症がエントリー。八郎潟産のシラウオの生食による寄生虫の感染で起こります。皮膚の下を幼虫が移動するのでミミズがのたうちまわったような赤い線が浮かび上がるのが特徴です。治療は幼虫を除去することになるのですが、うまくいかなくても人間の体では成虫になれないので自然に死んでいくためさほど心配は要りません。
福井県からはツキノワグマによる外傷です。福井県には比較的開発が進んでいない地域が多く、熊がたくさん住める地域が残っているようですが、最近はやはり山のえさが少なくなることが多いようで、人里に下りてくるそうです。クマによる攻撃は原則ヒットアンドアウェーだそうで、眼を狙って一撃を食らわし走り去るそうです。かなり衝撃的な写真が展開されていました。クマのえさが山にあふれるようにすることが何よりの対策なようです。
徳島県からはマダニ刺咬症による日本紅斑熱です。山歩きをしながらマダニに刺されるとうつされる病原体で、放置すると数ヶ月後に内臓に障害が出ることがあるので、マダニに刺されたら早めに皮膚科を受診される事をお勧めします。ダニがまだくっついているときは無理に引き剥がさずに受診された方がよいでしょう。
沖縄県からはハブくらげ&ダツが登場しました。ハブくらげはかなり毒性の強い刺胞をもったくらげで、まれにショックを起こしてなくなる方もいます。傷跡もかなり深い潰瘍になるので一生消えないものとなります。
海での遊泳の際には防護フェンス内での遊泳を心がけ、やむをえない場合はウェットスーツのように、全身をガードしてから遊泳されることをお勧めします。
また、「ダツ」はサヨリの仲間の魚なのですが、1m前後と大型で、光に向かってくる習性があるようです。夜の漁やナイトダイビングで灯りをともすと、
それに向かって突進してくるため、顔面や頚部にダツが突き刺さり、失明や出血死を起こす事故が毎年のように起こり、猟師さんの間では鮫よりも恐れられているとのことです。
今回の学会を通しての共通のメッセージは温暖化とグローバル化によって「ご当地」の病気であったものが徐々にボーダレスになってきていることへの警告が盛り込まれていたように思います。今後のことも含め、さらに、見識を広げていかなければならないと思う学会でした。
ご当地皮膚病あれこれ
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