あけましておめでとうございます。
年明け早々からあまり良いご報告ができず申し訳ないのですが、暮からこじらせている腰痛・坐骨神経痛が思うようにすっきりせず、なかなか厳しい立ち上がりになりそうです。
やはり、厄年っていうのは一つの節目で、今までとは違う体の使い方をしなさいとの戒めなのでしょうか・・・。これからの数年の間にメンテナンスをしながら自分との付き合い方を見つめなおさなくてはいけないなと改めて感じております。
さて、自分が年をとったことを実感したからではないのですが、高齢化社会の加速がいよいよ本格的になってきたこともあり、「もちを詰まらせて・・・。」「ふろ場で意識不明になり・・・・。」というニュースが当たり前のようになってまいりました。
再生医療が本格的に現場に応用されるようになるその日までは人間は20歳を過ぎたあたりで成長が止まり、そこから先は減りゆく細胞とその機能を大切に温存しながら付き合っていかなければなりません。生活の質が高くなり長生きできるようになってきたのは良いのですが、さすがに細胞の成長力を取り戻すことはいまだにできていないため、上手に長生きするためには減りゆく細胞と衰える機能を自分なりに理解して生活の仕方を工夫して適応させていかなくては、思わぬ形で足元をすくわれかねないのです。
私は皮膚科医ですから冬場に乾燥肌で来院される患者さんと接する機会が多いのですが、入浴の仕方を尋ねると、「熱めの風呂にさっとはいらねえと入った気がしない」「タオルでごしごししないと洗った気がしない」という患者さんが多数を占めます。確かに昔ながらの造りのお宅ですと、脱衣所・お風呂場とも寒い家が少なくありません。ぬるめのお風呂にのんびり入るのはためらわれるのも理解できます。ただ、お風呂の温度が40度をこえはじめると徐々に自律神経の働きがリラックス効果をもたらす副交感神経から緊張をもたらす交感神経へとスイッチしてしまうため血管がキューっとしまってしまいます。すると、血圧が上がり、血の巡りが悪くなり、お風呂に入ったのにかえって疲労がたまることになってしまいます。
実は、意外かもしれませんが、お風呂上がりの保温効果自体もぬるめのお風呂にぬっくり入った方が血行が良くなり体が芯から温まるのです。たとえて言うならば熱い風呂で外から熱を加えるというのは鉄板焼きでサッとあぶったレアのステーキのようなもので、ぬるめの風呂にゆっくりつかるのはじっくり煮込んだビーフシチューのようなものでしょう。
高温での入浴は、表面の皮膚への負担も大きいため、皮膚を保護するセラミドや皮脂がなくなり、乾燥が進みます。加えて脱衣所との間に生じる温度差で、血圧も乱高下し、結果的に脳出血などの緊急事態を生じやすくなります。診察の間も同じような話をさせていただくのですが、なかなか生活習慣を変えていくのは大変なのは理解できます。
ですから、まず血圧の乱高下が少なくなるように脱衣所・お風呂場の温度がなるべく温かく保たれるように工夫をするところから始めてください。その後で、徐々に浴槽の温度を下げていただければよいと思います。壁に段ボール+断熱シートなどの簡単な保温材料を重ねたものからはじめていただければさほど費用もかからないと思います。浴室用のヒーターなども効果的です。
今年の冬はまだまだ寒くなりそうですからぜひとも少しずつ生活スタイルを変えていただければと思います。
(無題)
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