帯状疱疹

今年も春先にかけて不安定な天候の日が多く、新年度も始まりなんとなく落ち着かない日々をお過ごしの方も多いのではないでしょうか。

昨年から減ることのない各国で起きるテロに加え、トランプ新大統領が誕生し、イギリスがユーロからの離脱交渉、北朝鮮が核開発に躍起になり、フランスでも新大統領誕生間近など、伝わってくる情報がどれも得体の知れない不安を煽るものが多くなりました。

こんな時は、冷静な判断と地に足のついた生活を心がけないと、不安やストレスから様々な異常が体の変調となって現れやすいものです。
皮膚科で言えばヘルペスや帯状疱疹なども春先に多いのもうなづけます。
そこで、今回は帯状疱疹と予防ワクチンについて少し触れたいと思います。

すでに多くの方に認知されている疾患ですが、簡単におさらいをすれば、原因は水ぼうそうのウイルスです。

水ぼうそうにかかると、このウイルスは完全に排除されず、神経の根本にある神経節という牢屋に閉じ込められます。

見張り役の抗体がウイルスの、再増殖を抑え込むのですが、徐々に効力が薄れていきます。

この減りゆく抗体を増やすためには水ぼうそうのウイルスに再開して思い出すことですが必要です。

昔は大家族の中の子供が次々と水ぼうそうにかかるため、何度も思い出すチャンスがあったため、子供が成長して出会う機会の少なくなったお年寄りが一生に一度かかるような病気でした。

ところが、水ぼうそうの予防接種が浸透し、核家族化が進行、抗ウイルス薬を用いた早期治療などのおかげて増殖した水ぼうそうウイルスに出会う機会がぐっと少なくなり、私の患者さんでも3回目、4回目の帯状疱疹を、経験する方が出てきました。

水ぼうそうの予防としては成功しているのですが、結果的に帯状疱疹が増えてしまっては医療費の削減に繋がらなくなってしまいます。

そこで、昨年から日本でも解禁されたのが水ぼうそうワクチンの流用による帯状疱疹の予防接種です。

残念ながら全額自費診療で、7000円前後と決して安くはありませんが、70%近い予防効果が五年間近く持続するという海外データを考えれば、十分検討に値すると思います。
ともあれ、発症した場合は早期治療が何より大切ですので体の一部が痺れたり電気が走るような痛みがでて、四日以上繰り返すようなら皮膚科医にご相談ください。

皮膚に症状が出ていなくても皮膚科の専門医なら問診だけでも、かなり予測ができるものです。
そんなわけで、まだまだ不穏な世の中のですが笑って泣いて余計なストレスを十分発散して免疫力アップに努めたいものです。