遅ればせながら 飲む日焼け止め始めました

遅ればせながら飲む日焼け止め始めました.
夏も後半にさしかかって今更な感じもありますが、当院でも飲む日焼け止めなるものの取り扱いを始めました。

紫外線は一年中降り注いでおり、これから秋の行楽シーズン、運動会シーズンでもありますので、ぜひご一読ください。
そもそも日焼けによる変化はなぜ起きるのか?
紫外線は多量に入れば細胞に大きなダメージを残すのでできる限り少なくする努力を皮膚が頑張っています。
まず、角質層が紫外線を反射して、体内に入り込む量を少なくしようと頑張ります〔散乱剤と同様な作用〕その角質層の壁を突破した紫外線に対しては、メラノサイトがメラニン色素をつくり出して紫外線を吸収し〔吸収剤と同様な作用〕、真皮への侵入を防御します。
これらの防御機能で防ぎ切れず侵入してきた紫外線の中で強いエネルギーを持つUVBは皮膚の細胞にダメージを与え炎症起因物質である活性酸素などのを放出させます。UVAはエネルギーは弱いのですが深くまで侵入し、メラノサイトを刺激しメラニンが増え、真皮に到達しコラーゲンなどを壊してしまいます。
これらのダメージから身を守るためのものの総称がUVcareとなり、大きく分けて、外用で作用するものと内服で作用するものに分けられます
外用)
:紫外線の皮膚への透過を防ぐことで効果を発揮する
(1) 衣類
① 色:黒が最も紫外線予防効果が高く白に近づくにつれて弱くなります
※青のデニムは通常の衣類の中では最も予防効果が高く、パンストの8000倍近い予防効果があります。
② 加工:紫外線吸収剤や散乱剤を練り混んだ繊維や塗布した衣類
※ちなみに、衣類の予防効果を表す指標にUPF(UV protection Factor)があり、数字は、何もつけない状態と同程度の日焼けを起こすまでに何倍の時間を要するか示しています。
(2)日焼け止め
①散乱剤
:酸化チタン、酸化亜鉛が代表です。金属の粉を皮膚の表面に敷き詰めて反
射することで効果を発揮します。アレルギーや刺激症状を起こしやすい反面、加工しにくく定着率が低いため、まめな塗り直しが必要です。

② 吸収剤
紫外線を吸収して熱エネルギーに変換して放出することで深部への到達を防ぐものです。化学物質を使用するため加工しやすく定着率が高い反面、熱による刺激や化学物質による刺激・アレルギーを起こしやすいのが難点です。定着率は高いですが、一定時間紫外線を吸収すると放出するまでは吸収できないため、日陰に入り回復することが必要です。難しい場合は散乱剤同様、まめな塗り直しが必要です。
内服)
:内側から紫外線の透過を防ぐのではなく、紫外線により生じた活性酸素などの炎症起因物質を減らすことで効果を発揮する
(1) ビタミン類
:ビタミンA,C,Eなどは紫外線により生じた活性酸素を除去する効果がある
(2) カロテノイド
:カロテノイドはリコピンやカロテンに代表される野菜の色素で、ビタミン類が除去できない毒性の強い活性酸素の1つ一重項酸素の除去能力が高い。トマト、スイカ、キャベツ、ニンジン、ほうれん草、カボチャなどが代表です。
(3) 飲む日焼け止め
:ビタミン、カロテノイドなどを積極的に食事で摂るのは効果的で健康的ですが、持続・継続するのが難しかったり、十分な量を摂取できないことが少なくないため、
同様な活性酸素の除去機能を有する有効成分を含んだサプリメントとして徐々にスペインなどのヨーロッパを中心に活用されています
代表的なものがシダ植物からの抽出成分フェーンブロックを主成分とするヘリオケアと、ローズマリーやシトラスの抽出成分ニュートロックスサンを主成分とするUVlockなどがあります。
それぞれのメカニズムとしてはフェーンブロックが紫外線そのものを吸収してダメージを減らす塗る日焼け止めの紫外線吸収剤に類似の効果があり、加えて紫外線によるダメージにより発生した活性酸素の除去作用を有しており、二重のブロック効果があると言えます。

一方のニュートロックスサンは紫外線吸収作用は有さないものの、強力な活性酸素の除去作用があり、作用時間が長いのが利点です。

ヘリオケアが服用30分で効果がピークに達し4時間前後効果が持続するのに対してUVlockは24時間効果が持続します。互いに作用メカニズムが異なることから相乗効果も期待できると言えます。
そこで、当院では普段のケアにはUVlockを毎日一粒服用し、アウトドアに出かける当日の朝と昼の二回ヘリオケアを一粒づつ服用するのが現時点では最も効果的な飲み方と考えています。

当然、日焼け止めをまめに塗り直せる方はヘリオケアは無くても十分だと思いますが、実際には日本人の塗り方ではとても少な過ぎて効果が不十分な場合が多いので万全を期すなら飲んでおいた方が良いでしょう。