花粉症? 肌荒れ?

3月に入りいよいよ花粉の飛散も本格的になってきたようで、目の周りを中心にした顔の肌荒れで受診される患者さんも増えてきました。
 目の周りのかさつきがひどくなって来院された患者さんに、「きっかけは、花粉と黄砂やPM2.5でしょうね・・・。」と説明をはじめると、「いえ、私は花粉症じゃないですよ」とか、「え?私花粉症なんですか?」とおっしゃる患者さんがけっこう多いように感じます。
 一般的に言う「花粉症」とはスギ花粉によるアレルギー性の鼻炎・結膜炎のことで、早いタイプのアレルギー反応を主症状としています。難し話になりますが、スギ花粉が鼻粘膜や結膜から侵入し、アレルギー細胞(肥満細胞)に作用するとこの細胞からヒスタミンというミサイルが発射され、これが粘膜の血管を攻撃して水漏れがおき、水漏れによって粘膜がむくみ腫れます。結果として鼻水・鼻づまりという症状につながります。
 さて、皮膚の症状はどうかといいますと、同様なアレルギー的流れによるものはほとんどなく、花粉そのものによる直接的なダメージによる場合がほとんどです。簡単に言えば、唇が乾燥してなめつづけていると、唾液の刺激と乾燥の繰り返しで口の周りの皮膚まで荒れてきます。でも、自分の唾液にアレルギーを起こしているわけではありません。お醤油が顔についた状態が長く続くとかゆくなりますが、お醤油アレルギーの可能性はほとんどありません。
 それと同じで、花粉や黄砂・PM2.5などが直接皮膚を刺激し続けた結果、皮膚の細胞がダメージをうけて炎症をおこしているのです。ですから、もともとその人が持っている肌の力や、体調の良しあしによる回復力の程度、外気にさらされている時間など、様々な条件で変化します。加えて、特に女性は注意が必要なのですが、かさつきはじめは皆さん「乾燥」を感じますので「保湿」が必要と感じ、普段よりも「基礎化粧品」を多めに使用します。しかし、基礎化粧品の箱の裏側をよく読んでください。ほとんどの製品に「肌の調子が悪いときは使用を控えてください」「傷がある部位への使用は控えてください」といった注意事項が記載されています。肌荒れがある状態で使ってしまうと、基礎化粧品に含まれる「防腐剤・安定剤」といった添加物によりさらに皮膚炎が悪化してしまう場合も少なくありません。
 ここ数年、日本の大気中の刺激物は増える傾向にあるように思います。今後も肌荒れに悩まされる人が増えてくると思われますので、調子が悪いと感じたときは何もしないで休ませてあげるのが何よりだと思います。風邪をひいたときも水分だけ補充しながら寝てるのが一番のように、余計なものは入れず、休養させるのが一番ではないでしょうか。
追記:来月から隣に「もりた眼科クリニック」がオープンします。いい形で連携して診療に当たりたいと思います。